前回は、「身体拘束について3」お話ししました。今回も引き続き「身体拘束について4」をお話ししたいと思います。

身体拘束に向けてまずなすべきこと 5つの方針

身体拘束を廃止することは決して容易ではありません。
看護・介護スタッフだけでなく、施設や病院全体が、そして本人やその家族も含め全員が強い意志をもって取り組む事が何よりも大事です。

身体拘束廃止に向けて重要なのは、まず以下の5つの方針を確かなものにする事であります。

1,トップが決意し、施設や病院が一丸となって取り組む

組織のトップである施設長や病院長、そして看護・介護部長等の責任者が「身体拘束廃止」を決意し、現場をバックアップする方針を徹底することがまず重要です。
それによって現場のスタッフは不安が解消され、安心して取り組むことが可能となる。さらに、事故やトラブルが生じた際にトップが責任を引き受ける姿勢も重要であります。
一部のスタッフや病棟が廃止に向けて一生懸命取り組んでも、他の人や病棟が身体拘束をするのでは、現場は混乱し、効果はあがりません。施設や病院の全員が一丸となって取り組むことが大切であります。

このため、例えば、施設長をトップとして、医師、看護、介護職員、事務職員など全部門をカバーする「身体拘束廃止委員会」を設置するなど、施設・病院全体で身体拘束廃止に向けて現場をバックアップする態勢を整えることが考えられます。

2,みんなで議論し、共通の意識をもつ

この問題は、個人それぞれの意識の問題でもある。
身体拘束の弊害をしっかり認識し、どうすれば廃止できるかを、トップも含めてスタッフ間で十分に議論し、みんなで問題意識を共有していく努力が求められます。

その際に、最も大事なのは「入所者(利用者)中心」という考え方であります。中には消極的になっている人もいるかもしれませんが、そうした人も一緒に実践することによって理解が進むのが常であります。

本人や家族の理解も不可欠であります。
特に家族に対しては、ミーティングの機会を設け、身体拘束に対する基本的な考え方や転倒等事故の防止策や対応方針を十分説明し、理解と協力を得なければなりません。

3,まず、身体拘束を必要としない状態の実現を目指す

まず、個々の高齢者についてもう一度心身の状態を正確にアセスメントし、身体拘束を必要としない状態を作り出す方向を追求していくことが重要であります。問題行動がある場合もそこには何らかの原因があるのであり、その原因を探り取り除くことが大切であります。問題行動の原因は、本人の過去の生活歴等にも関係しますが、通常次のようなことが想定されます。

  1. スタッフか行為や言葉かけが不適当か、またはその意味が理解できない場合
  2. 自分の意思にそぐわないと感じている場合
  3. 不安や孤独を感じている場合
  4. 身体的な不快や苦痛を感じている場合
  5. 身の危険を感じている場合
  6. 何らかの意思表示をしようとしている場合

したがって、こうした原因を除去するなどの状況改善に努めることにより、問題行動は解消する方向に向かいます。