前回は、「身体拘束について7」お話ししました。今回も引き続き「身体拘束について8」をお話ししたいと思います。

⑤活動する(アクティビティ)

その人の状態や生活歴に合ったよい刺激を提供することが重要であります。具体的には、音楽・工芸・園芸・ゲーム・体操・家事・ペット・テレビなどが考えられます。言葉によるよい刺激もあれば、言葉以外の刺激もありますが、いずれにせよ、その人らしさを追及するうえで、心地よい刺激が必要であります。
という五つの基本的事項について、その人に合った十分なケアを徹底することであります。

例えば、「③排泄する」ことについては、ア自分で排泄できる イ声掛け、見守りがあれば排泄できる
   ウ尿意、便意はあるが、部分的に介助が必要 エほとんど自分で排泄できない
といった基本的な状態と、その他の状態のアセスメントを行ないつつ、それを基に個人ごとの適切なケアを検討します。
こうした基本的事項について、入所者一人ひとりの状態に合わせた適切なケアを行なうことが重要であります。また、これらのケアを行なう場合には、一人ひとりを見守り、接し、触れ合う機会を増やし、伝えたくてもうまく伝えられない気持ちやサインを受け止め、不安や不快、孤独を少しでも緩和していくことが求められます。

(3)身体拘束廃止をきっかけに「よりよいケア」の実現を

このように身体拘束の廃止を実現していく取り組みは、介護保険施設等におけるケア全体の向上や生活環境の改善のきっかけとなりえます。「身体拘束廃止」を最終ゴールとせず、身体拘束を廃止していく過程で提起されたさまざまな課題を真摯に受け止め、より良いケアの実現に取り組んでいくことが期待されます。また、身体拘束禁止規定の対象になっていない行為でも、例えば、「言葉による拘束」など、虐待的な行為があってはならないことはいうまでもありません。

最後に、残念な現状もあります。何かといいますと、日本の介護保険のお手本となっている北欧で隠匿薬物的身体拘束が行なわれていることです。老人ケアにおいて、向精神薬を含む薬剤の使用方法に関する研究が行なわれています。患者を沈静化させ、コントロールする状況で使用する場合があります。こういう場合を薬剤的身体拘束と呼んでいます。これは老人の自律性を侵害し、自己決定権を冒すものであると言われていますが、隠密下薬剤投与についてはあまり研究されていないのが現状です。患者の状態によっては薬剤の投与も仕方ない場合もあるとは思いますが、身体拘束の役割として行なわれている現状もあるということも知っておいて下さい。施設や病院でお世話になる場合、本当に必要で行なっているのか?他にやり方がないのか?ご家族もある程度の知識を身につけて判断できるようにしておくべきだと思います。ただ、施設や病院のやり方に不平・不満をもらしても通じはしません。筋を通して、施設・病院に話しをもっていけば、話し合いにより施設・病院側も反省や改善努力を行なっていく事もあると思います。そういった患者側の働きかけがなければ、なかなか現状は変わっていかないのではないかなと私個人は思っています。