前回は、「身体拘束について6」お話ししました。今回も引き続き「身体拘束について7」をお話ししたいと思います。

身体拘束をせずに行なうケア 三つの原則

身体拘束をせずにケアを行なうためには、身体拘束を行なわざる得なくなる原因を特定し、その原因を除去するためにケアを見直すことが求められる。そのための3つの原則が「介護保険指定基準」で禁止されている身体拘束の具体的な行為ごとに配慮すべきポイントを紹介します。こうした取り組みによって、介護保険施設等のケア全体の向上や生活環境の改善が図られていくことが期待されます。

(1)身体拘束を誘発する原因を探り、除去する

身体拘束をやむを得ず行う理由として、次のような状況を防止するために「必要」だといわれることがあります。

  • 徘徊や興奮状態での周囲への迷惑行為
  • 転倒のおそれのある不安定な歩行や、点滴の抜去などの危険な行動
  • かきむしりや体をたたき続けるなどの自傷行為
  • 姿勢が崩れ、体位保持が困難であること

しかし、それらの状況には必ずその人なりの理由や原因があり、ケアする側の関わり方や環境に問題があることも少なくありません。したがって、その人なりの理由や原因を徹底的に探り、除去するケアが必要であり、そうすれば身体拘束を行なう必要もなくなるのであります。

(2)五つの基本的ケアを徹底する

そのためには、まず、基本的なケアを充分に行い、生活のリズムを整えることが重要です

① 起きる
人間は座っているとき、重量が上からかかることにより覚醒します。目が開き、耳が聞こえ、自分の周囲で起こっていることがわかるようになります。これは仰天していたのではわかりません。起きるのを助けることは人間らしさを追及する一歩であります。

② 食べる
人にとって食べることは楽しみや生きがいであり、脱水予防、感染予防にもなり、点滴や経管栄養が不要になります。食べることはケアの基本であります。

③ 排泄する
なるべくトイレで排泄してもらうことを基本に考えます。オムツを使用している人につ いては、随時交換が重要であります。オムツに排泄物がついたままになっていると気持ち悪く、「オムツいじり」などの行為につながることになります。

④ 清潔にする
きちんと風呂に入ることが基本であります。皮膚が不潔なことが痒みの原因になり、 そのために大声を出したり、夜眠れずに不穏になったりすることになります。皮膚を綺麗にしておけば、本人も快適になり、また、周囲も世話しやすくなり、人間関係も良好になります。